2013年3月26日火曜日

クルーズ船で働く ~初乗船から2週間の研修 其の1~

実務に就く前に2週間の研修がありました。カレッジと呼ばれています。この期間に船で使う用語やセーフティートレーニング、顧客管理システム(チェックインをしたりお会計をするコンピューター)の使い方、メンバーシップの仕組みなどを学びます。
私を含め7人が集まりました。メキシコから2人、ポーランドから2人、タイから1人、ウクライナから1人、そして日本人の私。そして教育してくれたリンダという女性はなんとラトビア人でした。

船上では様々な国の人達が働いています。その国籍の数、50か国程。ベネズエラ、やセルビア、サウスアフリカ等、「そういえばあるね!」と日本人の私には思える国々です。もちろん母国語はそれぞれ違いますが船の上の共通語は英語です。各国の発音の違いを知ることもとても面白いです。イタリア人の巻き舌英語はマネもしやすくて面白かった。一番苦労したのはなんといってもイギリス英語。アメリカ人のお客様でさえ聞き返すほどイギリス英語はアメリカ人の発音と違うんです。

カレッジの仲間たちバハマ、ナッソーにて

研修では分厚いテキストを渡され、とにかく詰め込みで一日10時間近くのクラス、時には現場見学もあり一日12時間近くがんばった。人生で一番長い2週間でした。初めての船上暮らし、時差ぼけ、初めて会う人との交流・・・・この2週間は本当に長く、長く感じました。毎日テストがあり、食事の時間はカレッジの仲間たちと互いの不安を語り合いました。特にはじめの1週間は毎日のテストに合格するか、これから6ヶ月もの間休みなく働けるのか、何よりも覚えることが多く疲れました。

船はお客様を乗せてカリブ海を悠々と航行しているのに私たちは会議室で日々勉強。青空を見る間もなかった数日間。4日目か5日目頃、初めて寄港地で下船する時間をもらいました。バハマのナッソーという港です。


アメリカで大人気のカリブ海クルーズ、同じ会社の船がこのように同日に何隻も寄港するがしばしばあります。港は船のお客様で賑わっています。久しぶりの外出、缶詰状態からの外出は本当に本当にうれしかった。

青い海を見ながらビールを飲み、2時間後のクラスに向けて気持ちをリフレッシュし船に戻りました。みんな肩の力が抜けたいい時間でした。

2週間の研修の最後は総復習のテスト。合格できなければ帰国させられることもあるそうですが私たち全員合格し、めでたく卒業することができました!合格を知った時は安堵の涙・・と言うか号泣しました。そして配属される船が発表されるのでした。

卒業の日はシャンパン、ケーキ、カナッペやフルーツサラダなどでお祝い!

2013年3月24日日曜日

クルーズ船で働く ~契約期間と勤務時間~

乗務員ビザを取得し、雇用契約書も届き、6ヶ月から8ヶ月と言われた1回目の契約。
基本的な契約の流れは6ヶ月乗船し2ヵ月休暇の繰り返し。希望次第で1契約8ヶ月まで続けて乗船することができる。乗船中は一日も休みはなく、毎日6時間から10時間のシフトで働く。そう、6ヶ月毎日働くのです。

とは言え、午前中4時間のシフトで午後2時間だったりするとちょっと楽ちんだったりします。例えばこんなシフトです;
月曜日 6:30-9:00、11:30-16:00、20:00-21:00 乗下船日計8時間
火曜日 8:00-12:00、16:00-18:00 計6時間
水曜日 12:00-16:00、21:00-24:00 計7時間
木曜日 16:00-20:00、22:00-24:00 計6時間
乗下船日は2600名のお客様を10:30までに送り出し、11:30から新たに2600名のお客様が乗船してきます。なのでシフトでは8時間でも実際10時間から12時間働くこともあります。

クレームの少ない日は笑顔がでます
 寄港日には私たちクルーも下船し好きなことをして過ごせます。交代制で船上待機という日もあります。いつ何が起こるか分からないので最低人数クルーは必要ですからね。

慣れない頃はシフトの間に何をしていいのか・・外出したら疲れるし着替えるのも面倒だしジムに行ったらシャワーしなきゃだし・・・と寝て過ごすことが多かったのですが、慣れてからは買い物に出かける、食事に行く、ツアーにまざる、ジムでトレーニングする等、充実した時間を過ごしました。

ロサンジェルス沖のカタリーナ島
メキシコのエンセナーダでフィッシュタコス


 でもやっぱり1週間に1回でいいから24時間連続のお休みがあったら嬉しいな。いつも数時間後には仕事って思ってるとやっぱり精神的に疲れます。

船は365日休みなく航行しています。私が乗っていた船は約7万トン。2600人程のお客様と900人強のクルー。ピンとこない程の大人数です。とにかく沢山の人を乗せて航行するのです。


2013年3月22日金曜日

クルーズ船で働くまで

ハワイの友人に招待されて乗ったスターオブホノルルという船のホエールウォッチングに行った時、船で働くのいいかも!と思ったのがすべての始まりです。海が好きなので海の近くにいられれば幸せです。船酔いもしたことがないので天職かもしれません。

空港やホテルで働いてきた私にできるのはゲストサービス関係。コンシェルジュやフロントでの仕事です。インターネットで探し始め、様々なリンクを辿って行くうち、今働くクルーズ会社に応募してみる事に。履歴書を送ったところ翌日にはメールが届き、スカイプでのテレビ電話面接をすることになりました。
いくつかの基本的な英語力テストをし、面接では何を話すのか緊張していましたがどうやってこの仕事を見つけたか、今までどんな仕事をしてきたか、日本人の乗客は少ないがアメリカ人を相手に働くのは大丈夫かという程度でした。最後にはじゃあいつから働けますかという事になり、面接から3ヶ月後、カレッジという2週間の新人トレーニングに参加となりました。

面接後の1ヶ月は健康診断や提出書類の作成、乗務員ビザ取得のためアメリカ大使館へ面接に行ったりと忙しく過ごしました。次は2週間の研修はどんなものだったか書きます。

面接のために用意したあんちょこペタペタ。使わなかったけど。


2013年3月17日日曜日

クルーズ旅行とは 其の3 何をして過ごす~寄港地編~

私が前回乗っていた船は3泊4日のクルーズと4泊5日のクルーズを繰り返していました。3泊4日の週末クルーズでは乗船日(ロス)→寄港日(メキシコ)→終日航海→下船日(ロス)となっています。
4泊5日では乗船日(ロス)→寄港日(ロス沖のカタリーナ島)→寄港日(メキシコ)→終日航海→下船日となります。

寄港日は何をしましょうか。自分の足で散策するか、ツアーに申し込むか。例えば港のすぐそばが栄えている町の場合ブラブラと歩き回って観光できます。見どころがたくさんある町に寄港したらツアーに申し込んでバスに乗り込み観光というのがいいと個人的には思います。
自分でバスやタクシーを使って移動するのも良いですが言葉の壁がある国では時間を効率的に使う為にもツアーが便利。

私自身ツアー参加型人間ではなかったのですが、船で働き始めて何度か自社の現地ツアーに参加し、その効率の良さとガイドから得られる情報でその土地をより楽しめることに気が付きました。この写真はメキシコ、エンセナーダでワイナリーツアーに参加した時の模様です。4千円ほどのツアーでしたがたっぷりの試飲と軽食、素晴らしい景色を満喫し大満足!







個人旅行もまだまだ大好きです。数年前にポーランド人の友人と2ヶ月間ヨーロッパ周遊旅行をしました。バックパックひとつで宿泊する場所も決めずに電車やバスで移動する旅です。計画性のない旅だからこそ見れた、体験できた事はたくさんありました。時間もたっぷりあったし。いつかその旅についても写真とともに書きたいと思います。

本題に戻って船旅の場合、例えば朝8時ごろ寄港し、17時に出港だったり21時出港だったりします。なので3,4時間観光するツアーはいいですね。
どんなツアーがあるのかは寄港地によって違いますがカリブ海ではスノーケリングやパラセイリングなどマリンアクティビティ、ヨーロッパでは歴史ある建築物を見に行ったりワイナリーに行ったりとその土地ならではのものが企画されています。

午前中にツアーに参加、お昼を船に戻って食べて夕方にまた下船して観光というのも家族連れには多く見られます。クルーズリピーターのお客様の中には全く下船せずずーっと船上で過ごす人もいて人それぞれ楽しんでいます。

夜にはライトアップされた船がとてもきれいです。




2013年3月16日土曜日

クルーズ旅行とは 其の2 何をして過ごす~船上編~

船旅の良いところはとにかく船の上で楽しく過ごせること。食事をするにもタクシーに乗る必要はないし、道に迷う事もない。ショーを見に行くのだって自分の部屋から数分歩くだけ。服を着替えたくなったらすぐ部屋に戻れるし疲れたら甲板(デッキ)に出てビーチチェアで一休みすればいい。

船の上には劇場(ショーラウンジ)、カジノ、ゲームセンター、プール、ジョギングトラック、フィットネスジム、エステ、免税店、コーヒーショップ、レストランやバーなど施設が充実。




ショーラウンジでは歌や踊り、マジックショー、ビンゴゲームやライブバンドの演奏などが繰り広げられます。予約の必要はなく無料で見ることができます。ショーの間はウェイターに飲み物を注文することもできます。



ミニパターゴルフは子供から大人まで楽しめるのでいつも混雑しています。この日は寄港日でお客様は下船し観光中。私はこんな日の甲板散歩が何より楽しいのです。



迫力のウォータースライド!家族連れが多く乗船しているので日中は子供達の笑い声が絶えません。



見渡す限りの青い海と空はいつ見ても、何度見ても、ため息が出るほど美しい。何もせずただ眺めているだけでも時間があっという間に過ぎて行きます。









甲板にあるバイキング(ブッフェ)で好きなものを食べながら中央ステージのショーを見学。
アイスカービングといって氷を削って動物などを作り出すショーや胸毛自慢コンテスト、ダンスコンテストなどもあります。




中央ステージのショーを見る人々

寄港日はほとんどのお客様が下船し観光に出かけますが、数時間出かけて船に戻りのんびり過ごすお客様もいらっしゃいます。本を読み、うたた寝をし、景色を見てまたゆっくりと時間を過ごすのです。
旅行に出るとついガイドブックに載っている場所に行かないと、食べ物を食べないと、と忙しく計画し疲れ切ってしまいがち。特に日本人の私たちはそんな過ごし方をする人が多いのではないでしょうか。もちろん寄港地ではそれもいいですが船の上ではのんびり過ごしてほしいと思います。

「何もしない」をしに休暇に出かけるのっていいと思います。だって、休暇から帰ったらまた忙しいんですから。

船内のイベントやレストランの情報は船内新聞(プログラム)が毎日部屋に届けられます。子供のためのプログラムから大人限定のコメディーショー、アートオークションやカラオケ大会(アメリカでも人気なんです!)など。免税店のタイムセールも見逃せません。

次回は寄港地での過ごし方についてちょっとお話ししたいと思います。



メインロビーのフロントデスク、私が働く場所です。

ロビーでのダンスショーはお客さまも参加し大盛り上がり。



2013年3月15日金曜日

クルーズ旅行とは 其の1 何日でお幾ら位

クルーズと言えば日本では‘豪華客船で世界一周’だったり、‘夢の地中海クルーズ’。長期間で高額、一部の人の楽しみといったというイメージが強いですね。

アメリカではそのような‘豪華客船の旅’の他、気軽にクルーズを楽しむカジュアルクルーズ船という選択肢があるんです。
価格帯と旅程日数の幅が広く、カーニバルクルーズという会社では例えば3泊4日のクルーズ300ドルから!なんていう調子で販売されています。(これはアメリカ国内予約ですが。)部屋のタイプや予約日でもちろん価格は変わってくるものの1週間未満のクルーズなら1人あたり500ドルから1000ドル(おおよそ5万円から10万円)で乗れるという事です。あとはチップを1人1日10ドル程度払います。
しかもクルーズでは食事が含まれての金額。1日3食に加えルームサービス、軽食やコーヒー、紅茶等いつでも提供されています。ホテルに宿泊した場合はお昼代、夕食代が掛かりますよね。それに比べたら乗ってしまえば特に余計な出費の無い船旅はお得なんです。ちなみに、私が乗っている船ではアルコール飲料と炭酸飲料は有料です。

私が乗っていたロサンジェルス発着クルーズの一例
▸金曜 <乗船日> 17時出航 ロサンジェルス・ロングビーチ
▸土曜 <寄港日> 8時メキシコ・エンセナーダ着 同日17時出航
▸日曜 <航海日> 終日航海
▸月曜 <下船日> 7時ロサンジェルス・ロングビーチ着 

金曜夕方出発の月曜朝帰港ということで仕事が終わって乗船、そして月曜には出勤という乗客も。港の近くに住んでいる人には特に気軽なものです。ロングビーチの港はロサンジェルスまで車で1時間足らずのアクセスなので2600人乗りの船が毎航海満室なのも納得。
もちろんアメリカの国内線で飛び乗船するお客様もあり、自宅から7時間運転して港まで来る家族もいたりします。

日本からだとクルーズ専門の旅行会社を通して予約するのが一般的なんだと思います。ある旅行会社のウェブサイトを見ましたが、日本でも外国船の場合お得に旅ができそうですね。アメリカ西海岸、7日間15万8千円から30万円、10日間のヨーロッパクルーズでも20万円台から50万円台と色々ありそうです。これは飛行機代を含めての価格。こうしてみると通常の旅行と同じくらいなんですね。 しかも添乗員付きとは言葉の心配も最小限に済みそうです。

次は船上には何があってどんなふうに過ごすのかをご紹介します。